日々思うこと

日本在住の研究者です(仕事場を移り、日本に戻ってきました)

誰のための支出か?

最近,自分の一定額以上の支出一覧をざっと眺めて気づいたが,「自分自身(だけ)で消費するための支出」よりも「他人に贈呈する,あるいは他人と共に消費(特に飲食)するための支出」の方が以前よりもかなり多くなっている。 所得が増えて余裕ができたとい…

パリの公衆トイレにあって日本の公衆トイレにないもの

【久々の更新ながら今回やや汚い話題(衛生的な意味で)です。ご注意を。】 街中の衛生という観点で(ほぼ唯一)フランスの方が日本よりも優れていると思う点として,手洗いの個室に必ずと言っていいほどブラシが備え付けてあることが挙げられる。汚したら手…

大学の授業料

大学・大学院で「授業料」っていうけれど,授業(講義や,ときにゼミも)なんて,自分がこれまでに所属してきた大学・研究機関についていうと,休学してようが部外者だろうが基本黙ってもぐりこめるか,教員の許可さえ得れば出席可能だし。ということは,事…

海外からの日本郵便問い合わせ

日本にいたころの郵便関連で問い合わせをしたい・・と思ったら,驚くべきことに日本郵便の問い合わせ電話番号,0120か0570はじまりの番号しかなく,要は国外からは一切電話ができないダメな仕様・・。一時的に国外に出ていて急を要する問い合わせをしたい人…

パリあるある(日本の視点で見た場合)

・基本,役所など諸々の手続,スーパーなどお店のレジ,道を歩く人々,すべてがトロい。後ろに並んでいるのに腹を立てると負け。 ・高級店に行かない限り,店員やレストランの給仕係の愛想のなさが中国並み。 ・いわゆる「フランス料理」を日常的に食べてい…

日本人向けの「ビジネス英語」フォーマット

ウェブで「XXX(何かの言い回し) 英語で」などと入れて検索すると,ビジネスの場などで使うさまざまな言い回しを英語で何と言う(書く)か,といったフレーズ集,フォーマット集のようなサイトがよく出てくるが・・。明らかな文法上のミスはないにしても,…

異分野での活動と「バイアス」

学問でも芸術でもスポーツでも何でもいいが,ある人が何らかの分野で素晴らしい才能を発揮し,世の中で高い評価を得ているとする。その状態でほかの分野,しかも前の分野とあまり関連のない活動に進出する場合,以前の名声・知名度が手伝って(少なくとも最…

他人様の留学記ではあるが・・・

parisnomemo.me 想像した以上にどうでもいいことしか書かれていなかった。特に最初のやつは「対処」方法としてはどうなの?という気も・・・。というか,どれも課題をしっかりこなすための方法ではまったくない,ただの処世術な件。プロフィールによるとこの…

欧州のブドウ収穫日データベース

歴史気候学関連で調べ物(ほとんど趣味)をしていて見つけたデータベース。欧州各国の,地域によっては最大過去650年前までのブドウ収穫日の記録が,データベースとして公開されている。歴史気候の再構築を主目的として編纂されたものなので,このデータをそ…

「歴史気候学」と「気候に関する歴史学」

Historical climatology - Wikipedia Environmental history - Wikipedia 歴史史料や年輪,湖底・海底堆積物などを駆使して観測機器登場以前の気候を再現する歴史気候学と,気候など環境の変化と人類の活動との連関,相互作用を説明する環境史などの歴史学。…

添加物・農薬・GM食品

『非』国民生活センター:市民運動に気をつけろ! 調べものをしていて見つけたページ。 食品添加物,農薬,遺伝子組換え食品など,警戒したくなる気持ちはわかるし,どうしても嫌な人は避けられるよう表示制度は常識の範囲内で整えられるべきだけど,絶対の…

「辛さ」のスタンダード化は可能か?

カレー,タイ料理,韓国料理など,日本のエスニック系レストランでは,何倍辛いとか,唐辛子マークいくつ分とかいった形で,メニューにおいて各料理の辛さが指標化されていたり,あるいは注文の際に自身の好みの辛さを選べることが多い。これはこれでもちろ…

フランスの書店事情?

フランスに住んでいてふと思ったこと。 学術・文学・その他問わず,質・量ともに世界有数の出版文化を誇るにもかかわらず,なぜか書店の数が日本に比べると異様に少ないような気がする。学生の数も多く,メトロに乗っていると必ずといってよいほど車内で本を…

アナール学派と「環境決定論」

フランス歴史学革命―アナール学派 1929‐89年 (NEW HISTORY) 作者: ピーターバーク,Peter Burke,大津真作 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1992/05/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 俗に言われる「アナール学派」についての歴史を…

背水の陣

漢楚軍談(項羽と劉邦の戦い)をあらましを思い浮かべていてふと思ったこと。 そういえば,「背水の陣」を布いて戦った人間って,韓信にしても項羽にしても,その場では勝利していても,結局最終的には身を滅ぼしてるんだよな・・。戦術の達人だったとしても…

優れた人文系研究を行うための「才能」

語学や数理計算能力,プログラミングなどは,覚えの早さなどその才能の有無がわりとわかりやすいスキルだと思う。 他方,人文系研究(文学,歴史,思想 etc.)で優れた業績を残すための才能,スキルとはどういうものなのか・・。資料を読み込む力(スピード…

ドラえもん狩り@南アジア

asia.nikkei.com 要するに,子どもにドラえもんを見せると,主に以下の3点で教育上よくないということらしい: (1)のび太の影響で,反抗的になったり,素行が悪くなったりする。(2)ひみつ道具がなんでも解決してくれる非現実的世界の描写の影響で,子…

金融バブルとボディビルディング

マネーも筋肉も,本来はそれぞれ経済活動促進あるいは運動・労働のための手段であるはずなのに,いつの間にかそれが自己目的化して,意味のないマネー増殖・筋肉増強に明け暮れてしまっている・・・という点で,似ているような気がする。 ボディビルダーの筋…

人文系研究者における「アンチ民間企業」の風潮

アカデミズム、特に人文科学系の研究者や学生と話していると、たまに「民間企業から資金をもらって研究するなんてけしからん」といった意見を耳にすることがある。より正確には、「その企業に都合のよいような結果を出しているのではないか」ということのよ…

メジャーとローカル:ローカルをメジャーにする、あるいはローカルであることに価値がある?

特に食品について、いわゆるグローバル企業や大企業の製品に対して、アンチというか消極的なスタンスをとるのがファッションとなっている。イタリアから始まったスローフード運動もそうだし、穀物メジャーという言葉を聞いてあまりポジティブなイメージを持…

対談:チョムスキーvsフーコー

www.youtube.com チョムスキーとフーコーの対談(日本語字幕付き)。こんな対談が以前行われていたとは。二人ともまず雰囲気というか,気迫がすごい。それぞれ英語・フランス語で話しているせいか,面白いながらもどこか噛み合っていないような気もするけど…

マゼラン艦隊最大のボトルネック

マゼラン 最初の世界一周航海――ピガフェッタ「最初の世界周航」・トランシルヴァーノ「モルッカ諸島遠征調書」 (岩波文庫) 作者: 長南実 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2011/03/17 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 12回 この商品を含むブログ (4件)…

製品のクオリティについて:ゲームソフトと「大人の事情」

toyokeizai.net この記事を読んでふと思い出したこと。 大人になって,というか社会に出てから気づいたことのひとつに,大人の世界というのは,子どものときに思っていたよりもだいぶ「いい加減(子ども的な視点で)」だということがある。 一例として,テレ…

「バイオマス」エネルギー?

バイオエタノールやバイオディーゼル,あるいは間伐材などを用いた木質ペレット・薪を「バイオマスエネルギー」と呼び,化石燃料や,風力や地熱などの自然エネルギーと対比して述べることがよくある。 だが,よくよく考えると,化石燃料すなわち石油・石炭も…

人文系研究者(および学生)のPowerPointプレゼン

理系研究者,あるいはビジネス関係者(といっても業界によって多様といえば多様だが)のそれと異なり,明らかに特異な形態に進化(むしろ退化?)してしまっている気がする。。 1)史料のスナップショットや写真など,図をを見せるのみ。あとの内容は全部口…

「港町」に対する認識の違い

個人的趣味だが,昔からの港町が大好きで,国内外問わず機会があればあちこち立ち寄るようにしている。 先月行ったイタリア旅行の旅程は,ナポリ→アマルフィ→フィレンツェ→ピサ→ジェノヴァ。いずれも観光地として有名だが(ジェノヴァはそうでもないか?),…

ブローデル『地中海』 その1

ブローデルの地中海を読んでのメモ。 1572年(レパントの海戦のすぐ後)にオスマン・トルコがキプロス島をヴェネツィアから奪った際に,ほとんどのギリシャ人(ギリシャ正教徒)はヴェネツィアに協力せず,またトルコ領になった後は,輸出産品(綿花,ワイン…

アンパンマンマーチ

ものすごくシンプルだけれど,結局はこういうことだよな・・という気がしてくる。「愛と勇気『だけ』が友達・・」の部分がよくネタにもされるが・・「最後に頼るべきは他人そのものではなく,他人を愛し愛される自分自身,その自分を未来向けて奮い立たせて…

語学能力

海外にいる日本人同士,特に若い人たちの中では,語学(当該国の母語)の出来不出来だけで互いの能力を評価する傾向が強い気がする。 高校,大学までのように,試験などの成績で自分の能力を「定量化」して他人と比較することが,大学院・社会人になるとでき…

インターネット評論の世界

Twitterやブログ,その他コメント欄での「プチ評論家」大量発生現象。これはやはり,マズローの言うところの「自己実現欲求」「尊厳欲求」あたりがなかなか満たされず,こじらせてしまっているゆえなのだろうか・・。ただの情報発信であればよいが,他の誰か…