日々思うこと

日本在住の研究者です(仕事場を移り、日本に戻ってきました)

欧州のブドウ収穫日データベース

 

歴史気候学関連で調べ物(ほとんど趣味)をしていて見つけたデータベース。欧州各国の,地域によっては最大過去650年前までのブドウ収穫日の記録が,データベースとして公開されている。歴史気候の再構築を主目的として編纂されたものなので,このデータをそのまま眺めて楽しいかどうかは置いといて・・・よく集めたなあ,と素直に感動。

個人的には,数十年単位で見た場合には品種の変遷(早生化や晩生化)も収穫日に影響してくるはずなので,品種データも(わかる範囲で)併せて整理されているとより参考になるのでは,と勝手に思ったりした次第。

古気候学,気象学などいわゆる理系の研究者らによって構築されたみたいだが,このデータベースについて取り上げた研究論文をよく見ると,共著者にル・ロワ・ラデュリの名前があったりする。

前回の記事,歴史気候学と歴史学との乖離ではないが,かつてのアナール学派の仕事のうち,ル・ロワ・ラデュリが気候に関して行った仕事は,いまは歴史学者ではなく気候学者が担って続けているんだなあ,ということがわかった。アナール学派の系統を現在まで追ってもなぜか誰も定量的な形で気候を扱っていないので不思議に思っていたが,こういうことだったのか。