日々思うこと

パリ在住の研究者です。日々ふと考えたことを書き連ねて参ります。

「辛さ」のスタンダード化は可能か?

カレー,タイ料理,韓国料理など,日本のエスニック系レストランでは,何倍辛いとか,唐辛子マークいくつ分とかいった形で,メニューにおいて各料理の辛さが指標化されていたり,あるいは注文の際に自身の好みの辛さを選べることが多い。これはこれでもちろん目安として助かるのだが,あくまでそのレストランにおける相対評価に過ぎない。すなわち,たとえばAレストランで唐辛子マーク3つ分とされている料理と,Bレストランで同じくマーク3つ分の料理が,同程度の辛さであるとは限らない。

自分自身は,少なくとも日本で言うところの「激辛」程度であれば,汗をかきながらもなんとか美味しく食べることができる。だが,自分の周囲には,辛いもの(特に唐辛子などカプサイシン系)を一切食べることのできない人間や,ある程度までは大丈夫だがそれを超えると多量の発汗,咳込みなどひどいことになる人間も多い。特に後者の場合,同じレストランで複数回食事をしていればメニュー内の「辛さ」度合いの勝手がわかってくるのだろうが,初めて入ったレストランだと,リスクを避けるために,指標的にもっともマイルドな「辛さ」の料理しか頼めない場合が多いのではないか。初めて入ったレストランでも安心して自身の許容範囲内の辛さの料理を楽しめるよう,辛さのスタンダード化はできないのか・・・?

と,ふと思って調べてみたところ,カプサイシンの濃度を計測して算出する以下のような指標がすでにあるらしい。実際,日本などアジアやフランスではあまり目にしないが,海外(おそらく米国など?)で販売されているホットソースには,このスコヴィル値が記載されていることが多い模様である。

スコヴィル値 - Wikipedia

100とか500からはじまって,最終的には1600万とか160億とか,ドラゴンボールの戦闘力やキン肉マンの超人強度的な上昇ぶりだが・・。ともかく,この数値を利用すれば,カプサイシンに限っての話ではあるが,辛さのナショナル・スタンダード,果てはグローバル・スタンダードの策定も可能となる。半分馬鹿げた話に思えるかもしれないが,最近の外食店舗,特にチェーン店のメニューにおける熱量,ナトリウム(塩分)含有量,グルテンフリーか否かなどの表示の動きからみても,法的な義務化の有無は別にして,一考に値するのではないかと思う。

辛いものが苦手であれば最初から辛い料理を頼むな,というのはやや乱暴である。どの程度までの辛さであれば問題なく料理を楽しむことができるかを把握したうえで,その範囲内で個々人が食事を楽しめるようにする・・という考え方も,ありうるのではと思った次第である。個人的には,影響の深刻さは別にして,グルテンアレルギーの人間よりも,あまりに辛いとダメだが可能な範囲でスパイシーさを楽しみたい人間の方が,日本では数が多いと思うのだが。(もちろん,計測・表示にかかるコストとの兼ね合いにはなるだろうが。)