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日々思うこと

パリ在住の研究者です。日々ふと考えたことを書き連ねて参ります。

「港町」に対する認識の違い

個人的趣味だが,昔からの港町が大好きで,国内外問わず機会があればあちこち立ち寄るようにしている。

先月行ったイタリア旅行の旅程は,ナポリ→アマルフィ→フィレンツェ→ピサ→ジェノヴァ。いずれも観光地として有名だが(ジェノヴァはそうでもないか?),このコースを選んだ理由は「港町めぐり」をするため。最盛期やその影響力にはばらつきがあるが,フィレンツェ以外はいずれもかつて海洋都市として栄えたところである。フィレンツェは,15世紀初めにピサを支配下に置いてそのシーパワーを吸収した(といってもピサの影響力は既に斜陽だったらしいが)ため,ちょっと興味があったので立ち寄った。

ナポリ,ジェノヴァは今でも港町としても栄えており,いわゆる「港町」気分を満喫できた。他方,アマルフィは,かつての海洋都市国家の面影はほとんど失せ,完全にリゾート地化しておりやや残念(どうやら地震か何かの地殻変動でかつての港湾を形成していた箇所は海に沈んでしまった模様)。さらにピサも,いまや斜塔の一本足打法で勝負しているせいか,事前にかなり詳しく調べていないと下に書く理由により港町だったということすら気づかず,昔の栄光に思いを馳せることすら難しくなっている有様。

ナポリ,ジェノヴァ,それにアマルフィは,都市が海洋に直接面しており,日本人が「港町」と言われてすぐ思い浮かぶような景観を有している。だが,ピサは海洋には面しておらず,リグリア海に出るには数キロは川を下らねばならない。言われなければ,ただの川が流れる中都市であるように映る。

このように,「海に面していない港町」は,日本人の感覚からするとどうやら珍しいようだ。日本の港町は,ほとんどは海に直接面している。しかしながら,ピサのように幾らか河川を遡ったところにある港町は,欧州では珍しくないようだ。(なお,話がややこしくなるので,河川輸送の拠点だったパリや,ライン川,ドナウ川沿岸諸都市はここでは「港町」に含めず,あくまで海洋輸送の拠点であった都市に話を絞ることにする。)

自分の行った限りで言うと,まずスペインのセビリャがそうだし,いまはラトビアの首都になっているリガもそうだ。いずれも名だたる港湾都市として歴史に名を馳せている。また,欧州ではないが米国のニューオーリンズも,同様にミシシッピ川沿いに長々と積み下ろし設備や倉庫,諸々の加工プラントが並んでいるのが印象的だった。

「海に面していない港町」,日本以外ではわりと普通なのか,あるいは上に挙げた都市もやはり例外的なものなのか。(人文)地理学などの研究成果で整理されていたりしないものだろうか。。