日々思うこと

日本在住の研究者です(仕事場を移り、日本に戻ってきました)

学歴・キャリアと民間企業就職との因果関係

日本では,人文社会科学系の大学院(特に博士課程)を修了すると,分野にもよるがなかなか民間企業への就職が厳しい(場合により絶望的)と,よく耳にする。同じく,JICAの青年海外協力隊OB・OGの就職がなかなかないという話も聞く。

前者は「自らの専門に拘り過ぎてつぶしが利かず,年齢も高めなため」といった説明がなされることが多く,後者についても,同じく年齢や,いわゆるキャリアの「空白」と見なされがちであることが理由として挙げられることが多い。これらはいずれも,就職が厳しいという「結果」が,彼らの学歴・キャリアのためである(「原因」)という説明であるが,個人的には少し違和感がある。

以前ある一部上場企業の人事関連(少しぼやかしておく)に携わったことがあるが,そこでの経験では,たとえある人のパーソナリティや能力のみで採否を判断したとしても,「結果として」上述の学歴やキャリアを持つ人たちが不採用となってしまう傾向が強いようであった(または,そう聞いた)。

すなわち,能力にせよパーソナリティ・人間性にせよ,もともと民間企業の求める人材像とは離れた人たちが(そもそもの優劣は別にして)人文社会系の大学院博士課程や青年海外協力隊に集まっている,と考えることもできるのではないか。つまり,彼らの学歴・キャリアゆえに就職が厳しいのではなく,そもそも民間企業の就職に向いていない人たちがそういった学歴・キャリアを選びがち,という逆の因果関係も指摘できるのではないかと思っている。